【読書感想】アウシュビッツのタトゥー係/ヘザー・モリス(Heather Morris)

アウシュビッツ 本・映画

山陽新聞であさのあつこさんの「あなたへこの一冊を」の記事を見て読みました。

内容(「BOOK」データベースより)

1942年、アウシュヴィッツ。人間に鑑識番号を刺青し名前を奪う男と、その手で「4562番」と刻まれた女。実話をもとに綴られた、全世界感涙のラブストーリー。

著者について

ニュージーランドの作家、脚本家。
オーストラリアに居住していた本作の主人公ラリ・ソコロフの独白を聞くようになり、一度は脚本として書こうとした彼の人生を小説にすることにして本作を書き上げる。
本作の登場人物を主人公に据えたスピンオフとして2019年秋に『Cilka’s Journey」を刊行。

あらすじ

1942年、24歳でアウシュビッツに送られた、スロバキア人のラリさんの実際の体験談。

要点

出版に当たり、複数の人物をまとめたり、そのようだったとする部分があるので、編集作者にはフィクションとされているが、事実と照らし合わせた3年間の記録をまとめたもの。

60年を経てから纏めるにしても、ラリさんの記憶力の正確さに驚く。

アウシュビッツで死と隣り合わせながらも知恵と機転で敵に取り入り、生き延びる。

明日どころか、今日をも知れない地獄の中でも生きる意思を強く持ち、「4562番」と諦めないことで運をも手繰り寄せたのだろう。

後に子供が生まれ、成長した後に事業が破産を経験した際も、「アウシュビッツに比べると健康が有るからなんとでもない」というのは経験した者のみが思えること。

後遺症としてクローバーを探してしまう、一部感情がなくなるなど。

日本語文章がよくある外国語の並びや言い回しではなく、頭にすっと落ちる表現で一気に読める。

感想

もともとコミュニケーションに長けていたとはいえ、情報のコントロール及び金品や食料の融通、ロシア人との交渉や、女性を集める際の立ち回りなど到底真似できそうにない発想と機転。

なぜこのようなことを言ったのだろうと本人も後悔する場面もあるが、ユダヤ人の奥深さを思い知る。

多くのユダヤ人が亡くなっているので、ラリさんはその中でも優れた才能があったのだろうけど、ユダヤ人の歴史と才能について調べたくなった。

ユダヤ人が優秀なのは「今日は何を勉強した?」と聞かないからだ

強制収容所については、シンドラーのリストやライフイズビューティフルも同様の内容だった。

自分の知識不足でポーランド周辺の国々がわからないので、ピンとこない位置関係が有る。

歴史を公平に認識するとともに、現在でも同様の理不尽が世界で起こっているのだろうと考えると、不買運動など自分でできることを行いたい。

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